四人が作ったカレーを一つの皿で食べる。
一人が四種作った、ではなくて。
この企画を思いついて、さらに撮影で実際四人のカレーを一つの皿で食べてみた時、「これはいいぞ」と自分で思った。
なぜってこれは当たり前にそれを作る四人がいなければ決してできないことであり、そこにこそ意味があるから。
コンピレーションミニアルバム。言ってみればこれはそんな感じのものであり、しかも一口一口食べ比べできる楽しさがある。それぞれ人が出るし、思いも出るし、違いもわかる。
「・・・で、どれが一番美味しい?」
当日食べている友人たちにイジワルにそう僕は聞いてみたのだけど、みんな「・・・うーん、それぞれジャンルが違うから難しい」と答えていた。ジャンル。確かにそうかも。
そう考えると、それぞれひとつひとつのカレーにもっとフィーチャーして文章を添えて紹介しても良かったかもなぁ、と思ったりした。それこそ、コンピレーションアルバムの紹介みたく。
それにしても。
何人かに「めちゃくちゃキビキビ働いていた」と言われた。まぁ普段が普段だし、違う筋肉を使ったのは確かであり、そのためにやった企画でもあった。
それに隣にはわざわざ店を休んで手伝ってくれてる「ピクニック」のかおるさんがいるんだし、たらたら働いてなんかいられない。
もし自分が飲食をやるなら絶対かおるさんの店みたくなるだろうし、「ピクニック」に行くたびにそう思うし、だからこそ、今回一緒に厨房に立てたのは自分にとってかなり(勝手に)大きなことだった。やっぱりヴァイブスが近いのか、すごく働きやすかった。
「自分が好きな音楽を聴きながら仕事ができるのって、ほんと、嬉しいことよね」
最初の方は僕が勝手にレコードを選曲して店内でかけていたのだけど、かおるさんはふと、誰にいうでもなくそう呟いた。その時にかかっていたのはエチオピアのピアニスト、エマホイのレコードだった。その瞬間がもしやこの日いちばんのハイライトであり、ああ、この感覚はずっと忘れないだろうな、とぼんやり思った。
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